本レビュー記事

【書評】少年の旅を通して語りかけられる「人生のエッセンス」(『アルケミスト 夢を旅した少年』パウロ・コエーリョ)

【書評】アルケミスト 夢を旅した少年(角川文庫)

こんな思いをふと感じることはありませんか?

・やりたいことがあるのに、時間がなくていつも後回しになってしまう。
・好きなことをしながら生きれる人生なんて、一握りの限られた人だけだ。
・もうこんな歳だし、家族もいるし新しい挑戦なんてできない。リスクだらけだ。
・毎日の仕事に忙殺されて、何がワクワクするものなのか、全く分からなくなってしまった。
・今のままではなんとなくいけないよな、と分かっているけど、何をすればいいか分からない。
・親や周りが、今の生き方を勧めてきたから、結果的に今の生き方をしているけれど、実際しっくりこない。

アルケミスト 夢を旅した少年」は、アンダルシアの平原で、羊と一緒に暮らしていた少年が、遠く遠く離れたエジプトへ宝物を探しに行くお話です。少年は、旅の中で出会う人や出来事から、人生に必要なたくさんのエッセンスを学んでいきます。

そして少年の旅を通して、私たちにそっと寄り添いながら、人生の気づきを与えてくれます。

「でも僕は羊飼いになると自分で決めたのさ」 ー 本文より抜粋

 人生は案外、日々の小さな決断の積み重ねで形成されているとも言えます。これまでを振り返ってみると、いかがでしょうか?

 美味しいコーヒーの香りで迎える朝や、大好きな家族やパートナーが隣にいる朝は、なんだかその日1日中、気分の良い日で過ごせたり。仕事でちょっとした失敗をした日は、自分を勇気づけるために、コンビニスイーツを帰りがけに買って食べたり、行きつけの居酒屋でビール飲んで元気を出したり。

 これら全て、当たり前に日々を過ごしているから気づかないまでも、美味しいコーヒー豆を買う決断、大切な人と一緒に時間を過ごす決断、コンビニスイーツを買う決断、行きつけの居酒屋へ行く決断をしているのです。

 では、あなたの夢や人生におけるやりたいことではどうでしょう?急に決断するハードルが高くなった感じがしてしまいます。

「人が本当に何かを望む時、全宇宙が協力して、夢を実現するのを助けるのだ。」 ー 本文より抜粋

 日々の小さな決断は、もしかしたら心をすり減らすようなことをせずとも、時間をたくさんかけずとも、自ずと自然に行っていることが多いかと思います。

 では、夢や人生でやりたいことなどと言葉を変えたとき、何故人は一度間を置いたり、躊躇してしまうのでしょうか?

 今の安定した生活を変えられないから?

 自分にできるはずがないと思っているから?

 もしかしたら、周りから嘲笑されるかもしれないから?

 そもそも夢や人生でやりたいことなんてないから?

 それとも、一歩踏み出すのが怖いから?

 少年は旅の中で何度も困難に直面します。ある時少年は、旅の途中で出会った錬金術師からこう言われます。「人が本当に何かを望む時、全宇宙が協力して、夢を実現するのを助けるのだ。」と。

「おまえの心に耳を傾けるのだ。心はすべてを知っている。それは大いなる魂から来て、いつか、そこへ戻ってゆくものだから。」 ー 本文より抜粋

 ゆっくりと目を閉じて、心の声を聞いてみると、いかがでしょうか。ゆっくりと心に現れてくる情景や人、匂いや味、音や感触がありますか?

 それを言葉にしてみたり、文章にしてみたりするとどうでしょうか。誰もいないところで、一人だけの空間で、ネガティブな感覚も、ポジティブな感覚も全て受け容れて、やってみてください。自分だけの秘密です。

 声に出してみたり、文章に書いてみると、心がなぜか温かくなったり、元気やエネルギーが湧いてきたりしますか?ネガティブな感覚を持っていた人は、その感覚が薄れていき、ぼんやりと少し前進できるような感覚を得たりしますか?

 恐らくそれが、今もしくは今後、あなたがやりたいことや夢です。

「傷つくのを恐れることは、実際に傷つくよりも辛いものだと、おまえの心に言ってやるがよい。夢を追求している時は、心は決して傷つかない。」ー 本文より抜粋

 何かを始めるときは、怖さを感じるかもしれません。ダメになったらどうしようとか、そもそも自分にできるか分からないとか、もしかしたら家族を傷つけるかもしれないとか。そんな恐怖を抱えているとき、芋づる式に恐怖が増して、行動を起こすのがとても億劫になってしまうものです。

 そんなとき、少しだけ考えてみてください。人は、誰しも小さい頃、真新しいことに囲まれていました。お箸を使い始めた時、上手く使えず、テーブルに食べ物が散らばって汚れてしまったはずです。初めて滑り台で遊ぼうとした時、怖くなって結局滑れるようになるまでに時間がかかったり。お料理のお手伝いを初めてした時、上手く包丁が使えず、指を切ったかもしれません。もしくは、食べ物を焦がしてしまったこともあるでしょう。

 失敗だらけの連続の中で、私たちは何度も挑戦をしながら出来ることを増やしてきました。失敗したときは、悔しかったり、少し傷ついたかもしれません。ある人は、もっと上手くなりたいと奮起したかもしれません。それでも、心が前を向いていたから今私たちはいろんなことが出来るようになりました。

少年の旅を通して語りかけられる人生のエッセンス

側から見ると順風満帆そうに見える人でも、見えないところで色んな困難に挑戦してきて乗り越え、今があります。

羊飼いの少年も同じように、旅を通して様々な困難を克服しています。

今回ご紹介した本はこちら

・タイトル:アルケミスト 夢を旅した少年
・著者:パウロ・コエーリョ
・出版社:角川文庫

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  • この記事を書いた人

長倉 由香

何にもない日本の端くれの田舎町から、紆余曲折を経て海外駐在中。留学経験ナシだけれど、周りの人のサポートと気合、根性、幸運で駐在に。多文化、異文化、共生が人生のキーワード。自分の心に嘘を付かないをモットーにゆったりまったり人生を謳歌中。

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