インタビュー記事

【革新】三浦 幸治|3つの団体を創設!ボランティアで「新しい文化」を創る(前編)

世の中には多種多様なボランティアがあり、参加する理由も人それぞれです。今回インタビューした三浦さん(通称、おってん)は、大分県と鳥取県で合計3つのボランティア団体を設立して、ボランティアを通じて「文化を創ること」を目標にしています。

三浦さんが考える「文化を創る」とは、「その地に根付いて、その地の人々を幸せにできるものを創ること」で、このためには様々な「出会い」だと言います。

そこで今回は、大分県内だけでなく、東京や鳥取でのボランティア活動にも参加し、現在は大分市内で「フリーター」として働きながら「ボランティア」という手段にこだわって活動する三浦さんの「革新」についてのインタビューをお届けします。


【三浦 幸治(みうら こうじ)】ボランティア団体 TRASH HERO OITA 代表/エンカルっちゃ! 主催。1993年生まれ、大分県出身。教師を志し大学に進学するも、民間企業での経験を積んでから教師になりたいと思い、大学卒業後はパチンコ運営会社に就職。約2年間勤務し退職。鳥取県で保健体育の教師となる。2019年に鳥取県で自身初となるボランティア団体「MCC」を設立。その後、2020年に大分県にUターン移住し、ごみ拾いボランティア団体「TRASH HERO OITA」を設立。2022年11月には「大分県民を、出会いで楽しく健やかに。そんな文化を創る」というコンセプトのイベント「エンカルっちゃ!」を主催予定。

カクシン編集部の林です!僕が聞きました!
三浦くんとは友だちなので、以下「おってん」と記載します!

大分と鳥取で3つのボランティア団体を主催

今やっている活動について教えてください。

主な活動は、以下の3つのボランティア団体の運営です。
・MCC
・TRASH HERO OITA
・エンカルっちゃ!

「MCC」はどんな団体ですか?

1つ目のMCCは、僕が鳥取県で教員をしていた時に立ち上げた「青少年の健全な育成に関わる」ボランティア団体です。約3年程代表を務めていましたが、先月退任し、現地の新しい代表に代わりました。

団体が無くなることなく、次の代表に引き継ぐことはすごい経験ですね。

本当に良かったです!

MCCの新しい代表が大分での活動に奮闘している僕の姿を見て、「おってんの大分での活動を後押ししたい」と思ってくれた部分もあったようです。その気持ちには本当に背中を押してもらえました。団体が無くなることなく、続けてくれる人がいることが嬉しかったです。

そして、おってんの代名詞である「TRASH HERO OITA」ですね!

2つ目がTRASH HERO OITAです。

僕が代表を務めている団体で、「大分県で環境に関する活動」をするボランティア団体です。活動内容は「週に1回程度のごみ拾い」と「ごみ問題を題材にしたヒーローショーの公演」です。

ヒーローショーは自分たちのオリジナルで台本・衣装など全てゼロから作り上げました。子どもから大人まで楽しんでもらい、環境問題について考えるきっかけを提供しています。

3つ目の「エンカルっちゃ!」が今新しく取り組んでいることですね。

3つ目のエンカルっちゃ!は「大分県民を、出会いで楽しく健やかに。そんな文化を創る」をテーマに、大分県民に毎年楽しみにできるお祭りのような何かを残したいという思いで企画しました。

ごみ拾い団体「TRASH HERO OITA」創設の背景

TRASH HERO OITAは何人くらいの団体ですか?

今は運営スタッフが11人です。20代〜40代の学生や社会人で構成されています。

週に1回やっているごみ拾いには、運営スタッフ以外にも色々な方々が参加してくれています。

TRASH HERO OITAの立ち上げメンバーはどんな人ですか?

1番最初は僕だけでした。参加者として中学と高校の同級生が1人ずつごみ拾いを一緒にしてくれました。

その後、職業訓練校の友人だった2人を誘ったところ、継続的にごみ拾いに参加してくれるようになりました。

大分市の都町(飲み屋街)でごみ拾いをしている理由を教えてください。

初めは駐車場があって、景色が綺麗で気持ちいいという理由で「護国神社」でやっていましたが、大勢でやるほど、ごみが落ちていないんです。

ごみがたくさん落ちている場所かつ、駅から徒歩圏内の場所であれば、色々な人たちが集まってくれる
かもしれないと思い、都町を選びました。

参加者はどんな様子ですか?

都町のごみは思ったより多いと驚く方が多いですね。

ごみ拾いに一度でも参加してくれた方々は、「今まで意識していなかった道端のごみが気になるようになる。」と言っています。さらに、「自分は絶対にポイ捨てしないという気持ちを改めて感じました。」とも話してくれますよ。

朝活という意味合いもあり、朝の早い時間にごみ拾いをして、終わった後もその日1日が充実してくれるといいなと思っています。

「ごみ拾い×エンタメ」でポイ捨てをする人を減らしたい

ヒーローショーを始めたきっかけはなんですか?

実際にごみ拾いをしてみると、ごみ問題の深刻さを感じて、なんとかしたいと思いました。

でも、ただごみ拾いをする人を増やしても根本的にはごみ問題を解決できないと思ったんです。

なので、ポイ捨てをする人を減らすために、エンターテイメントとごみ問題を合わせてヒーローショーを行い、ごみ問題について考えるきっかけを作ろうと考えました。

オリジナルのヒーローショーを自分で作るなんてすごいですね!

ヒーローショーというアイディアには自信があったものの、ヒーローショーのやり方が分からなかったんです。

TRASH HERO OITAのメンバーに相談しながら、色々な人に会いに行くと、その先々でアイディアが浮かんできて、1つずつ実行していたら、仲間も増え、ヒーローショーの形もできました。

ヒーローショーはどれくらい実施しましたか?

2021年1月にTRASH HERO OITAを設立して、その年の8月にヒーローショーを初めて公演しました。その後、順調に公演を重ね、2022年9月現在で9箇所15公演を実施しました。

最近は、演者のメンバー層も厚くなってきたので、ショーのバリエーションを増やし、いずれ全国展開していきたいです。

全国展開はすごいですね!

僕らのオリジナルヒーローショーは、僕らの足の届く大分県内だけでやっていくのはもったいないと考えています。そこで、環境問題について活動する全国の人が誰でもヒーローショーを実演できるシステムを作りたいと思っています。

僕たちのショーの衣装・台本・音源を貸し出せる形にしたり、練習をサポートしたりして、誰でもどこでもヒーローショーで環境問題を訴えられるようにしたいんです。

貸し出しに向けて、僕ら自身の実績もさらに積み上げたいと考えています。今年中に福岡など県外で一度ヒーローショーを開催して、来年は九州を回るなど活動を広げていきたいですね。

大分県民を出会いで楽しく健やかにする「エンカルっちゃ!」とは?

おってんがモルックをしている様子

エンカルっちゃ!とはどんなイベントですか?


「大分県民を、出会いで楽しく健やかに。そんな文化を創る」をテーマにした大分市の田ノ浦ビーチで2022年11月3日の文化の日に企画しているイベントです。

大分県民に「ヒト」「コト」「モノ」など様々な「出会い」を創出することが狙いです。「出会い」によって新しい価値観が生まれたり、選択肢が広がったりすることで、大分県民の人生がより楽しく・より健やかになると考えています。

具体的にはどんなイベントにする予定ですか?

将来的には大分県を代表するイベントにしていきたいです。

「花火」「マルシェ」「ステージイベント」「ライブ演奏」「スポーツ大会」など、複合的に色々なブースが融合するイベントを開催します。

一見独立しているように見えるひとつのブースに居たとしても、実は「エンカルっちゃ!」というひとつのイベントに繋がっていて、会場全体に交流が生まれ、出会いが生まれる。そんなイベントをしたいです。

今回はどんなイベントになりますか?

今年は初回ということもあり、TRASH HERO OITAを主軸に環境問題に着目したイベントとして、「スポーツと音楽」を織り交ぜたイベントになります。

朝10時ごろからトラッシュヒーローショー、プロギング、モルック体験会を開催します。

大分でプロギングを知っている人は少なそうですね。

プロギングはスウェーデン発祥の「ごみ拾いとジョギングなどを合わせたフィットネス」です。

エンカルっちゃ!では「プロギング×謎解きゲーム」として新たな楽しみを加えています。そこにトラッシュヒーローも参加して、ワクワクが盛りだくさんのイベントにしたいです!

プロギングは大分県内では、まだあまり知られていないので、プロギングというコンテンツそのものが大分県民へ新たな出会いの提供になると思います。

モルックもニッチなスポーツですね。

フィンランド発祥のスポーツで、ボーリングのように並んでいるターゲットに、木の棒を投げ、どのように倒したかで点数を競うゲームです。Newスポーツとして流行っています。

ごみ拾い仲間の清瀬健太郎くん(通称、きよけん)が、ごみ拾いの後にモルックをやろうと言い出したんです。それで僕もモルックに出会って、面白くてハマっちゃいました!

モルックは知らない人同士でやっても盛り上がりますよね!

モルックは簡単で単純な運動で実施できるので、老若男女が一緒にできます。

一方で案外頭も使うので、チームメイトとの作戦会議等のコミュニケーションは必須です。もし知らない人とできたなら、たちまち仲良しになってしまうことでしょう。それが僕の言う「出会いの創出」の一例です。

他にも飲食ブースを並べたり、音楽ステージを作ったりして、会場の雰囲気作りをこれからどんどんしていきたいと思っています。

エンカルっちゃ!のイベントに来ると、これまで触れ合ったことがなかった、スポーツや音楽やお店や人と出会えるんですね!

「ヒト」「コト」「モノ」との出会いですね。特に集まってくれた人たち同士の交流ができるシステムを作っていきたいですね。色々な工夫を織り交ぜて「出会いの文化」を創りたいです!

エンカルっちゃ!を企画した背景にある「おってんの原体験」

なぜエンカルっちゃ!を企画したいと思ったんですか?

一般的なお祭りやイベントにも参加するのが好きなんですが、あんなに大勢の人がいるのに、案外新しい出会いって起こってないなと思ったんです。それって寂しいなって。

なのでエンカルっちゃ!では、自分と周りのお客さんで交流があったり、モルックを通して新しい友達ができたり、という「新たな出会いを創る」機会を増やしていきます!

その視点は新しいですね。どんな人にエンカルっちゃ!に来てほしいですか?

極端に言うと、エンカルっちゃ!は「大分県民の全員」に来てほしいです!

なので、様々なブースを用意していきます。みんなが何かしら興味を持てるようなブースを。そして、そこに集まった人たちを出会わせまくりたい・・・!

「新しいことに挑戦したい」「未知なるものにワクワクしたい」という方には楽しんでもらえるイベントになると思います!

また、「何かしたいけど何をしたらいいかわからない」「家と職場の往復では物足りない」「日々の生活に刺激が欲しい」という新しい一歩を踏み出したい人たちには、特に来てほしいと思っています。

大人になると「新たな出会いがない」「友達ができない」と思っている人は多いですよね。

僕も社会人になって、仕事以外にやることを見出していなかった時はそうでした。でもボランティアを始めてから、大人になっても出会いがあるんだって思いました。

エンカルっちゃ!を成功させるために、どんな動きをしていますか?

イベントのコンセプトをブラッシュアップさせたり、イベントの関係人口を増やそうと、僕自身が様々な出会いに飛び込んでいます。

エンカルっちゃ!をやると決めてから、色々な方々に会いに行って、相談させていただきました。厳しいご意見を頂くことも多々ありましたが、根底には僕を応援してくれる方々ばかりだったので、絶対に成功させたいと思いました。

エンカルっちゃ!を成功させるために、アパートまで借りたんですよね?(笑)

そうなんです(笑)

エンカルっちゃ!を開催するために、運営メンバー同士の絆を深めたいと思いました。そこで、メンバーが集まる拠点を作るために、アパートを借りました。

でも、1Kの部屋はみんなで集まるには少し狭いですね。(笑)

エンカルっちゃ!はこれからも毎年続けようと思っているので、ゆくゆくは大きい部屋を借りられるくらいまで頑張りたいです!

最後にエンカルっちゃ!に向けての「熱い想い」を教えてください!

「僕がやりたいこと」=「社会に価値を見出せること」だと本気で思っています。

「TRASH HERO OITA」も「エンカルっちゃ!」も、僕がやりたくてやっています。誰かに求められた訳でも、頼まれた訳でもない。僕がやりたいと思ったからやっているのです。だけどこれは、きちんと形になった時、きっと誰かのことを幸せにできる。その思いでただひた走って行きます!

あなたは何も心配せず、11月3日に田ノ浦ビーチに遊びに来てください!!!!

〈取材・執筆=林 勇士(@yuji_upcycle)/撮影=ハル(@hal_ukiozs)〉

2022年11月3日は田浦ビーチの「エンカルっちゃ!」にあつまれ!

エンカルっちゃ!の詳細はおってんのYouTubeで配信中!

  • この記事を書いた人

林 勇士

【合同会社ビジョナリープロジェクト代表/カクシン編集長/社会派WEBライター】大分県中津市出身。1990年生まれ。2013年に大分大学を卒業後に産業廃棄物処理業界に新卒入社。関西、関東での勤務を経て、2018年に合同会社ビジョナリープロジェクトを創業。1年間の東南アジア、ヨーロッパでの海外調査を実施。2019年10月にUターン移住し、デザインの力で「ごみをお金に変えるアップサイクル」事業を中津市で開始。社会起業家のデザイン支援や企業のSDGs支援を行う。

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