インタビュー記事

清瀬 健太郎|不登校の子ども達に「家以外」の安心できる「依存先」を増やしたい(後編)

学校に行っている子ども達の一番の居場所は「学校と家」の2つがありますが、年々増えている不登校の子ども達には「家」しか居場所がありません。それでは引きこもりがちになっても仕方がない状態です。

そこで、学校に行けない子ども達に、第3の居場所を提供しているのが清瀬さんです。

今回の記事では、清瀬さんが所属している放課後等デイサービスでの取り組みやフリースクールでの子どもの居場所づくりについての考え方についてインタビューをお届けします。

【清瀬 健太郎 (きよせ けんたろう) 】放課後等デイサービスCanCanで児童指導員として勤務。大分県大分市生まれ。『出逢いは一瞬 ご縁は一生』をモットーに、人と人とを繋ぐ活動に力を入れ、自身でイベントの企画や海ごみ拾いボランティア団体の代表等を行う。2023年1月15日に「中村 文昭氏」の講演会を主催予定。午後ティーよりも紅茶花伝派。ポンカンよりみかん派。

カクシン編集部の林です!僕が聞きました!

「公教育」にはできない「民間教育」ならではのアプローチ

今している活動について教えてください。

仕事としては、放課後等デイサービスの児童指導員やフリースクール、ヘルパーを中心に「福祉や教育」に関わる仕事をしています。

子ども達やお年寄りの方々と一緒にいるのが好きなので、仕事だからやっているというよりは、好きなことをしていたらお金をもらえているという感覚に近いですね!

それは理想的な働き方、生き方ですね!

他にも、ごみ拾いやモルックのイメージが強いのですが、仕事以外の活動も色々やっていますよね?

仕事以外で言うと、ごみ拾いとモルックが僕のライフワークになっています!

他にもビーチクリーンの時に流木を集めたり、ベランダでメダカを500匹くらい飼育していたり、読書をしたりと、趣味は多い方だと思いますね!

放課後等デイサービスとはどのような場所ですか?

放課後等デイサービスは、小中高の学校に通っている障がいのあるお子さんや、病院等で診断名を受けて学校に行けなくなっているお子さんの学びの場、居場所です。

「公教育」では実現しづらい教育方針が「民間教育」ではできるので、面白さとやりがいを感じているんですよ!

公教育と違う部分はどんなところですか?

みんなレベルが違うのでその子に応じた目標を立てて、一緒に楽しんで活動していますね!

不登校の子どもたちは、学校に行けないし、家からも出にくい子どもたちなので、この場所に来てもらうためにプログラムを魅力的に見えるよう工夫しています。

子どもたちがやってみたいと思うようなプログラムづくり。いいですね!

例えば、体幹トレーニングをする日は「エンジョイの日」と書いて子どもたちの楽しみにつなげてみたり、家庭科が好きな子が活躍できるようにタコ焼き機で一緒に料理を作る日を設けてみたりすることもあります!

公教育ではできないその子に応じたプログラムを作ることもできるので、子どもたち1人1人の得意なことを伸ばすアプローチがしやすいのも魅力だと思います。

「できないこと」ではなく「できること」に注目する教育方針

勉強も嫌だ、人との関わりも嫌だという子の場合はどうしていますか?

子どもたちの「できないこと」に注目するのではなく「できること」に目を向けています!

特性のある子どもは、座って勉強するのが苦手だったり、脳の構造で記憶の定着率が低かったりします。そのような子どもたちにできないことを一方的にやらせても勉強が嫌いになるし、この場所にも来なくなってしまう。

学校で教わる主要5教科ができないとダメというのではなく、得意なことに目を向けて新しい可能性を伸ばすサポートをするのが、僕たちの役割だと思っています!

子どもたちの「得意」を増やしてあげる教育なんですね!

不登校の子どもたちは、社会経験が乏しいことが多いです。なので、学校で経験するようなことも取り入れますが、学校でできないこともやっています。

みんなレベルが違うのでその子に応じた目標を立てています。

例えば、計算が得意な子どもに協調性やコミュニケーションを教えたい場合は、スポーツ活動の中で点数を計算してもらい、チームに貢献してもらいます。
一方で、学習障害で計算できない子に、無理に計算をさせるとフラッシュバックを起こすことがあります。そのような子どもには、どうやったらゲームで高得点を出せるかなと戦略的なことを一緒に考えるんです。
このように同じ活動をしていても、それぞれの子どもに対するアプローチを変えていますね。

具体的にはどんな感じですか?

例えば、計算が得意な子どもに協調性やコミュニケーションを教えたい場合は、スポーツ活動の中で点数を計算してもらい、チームに貢献してもらいます。

一方で、学習障害で計算できない子に、無理に計算をさせるとフラッシュバックを起こすことがあります。そのような子どもには、どうやったらゲームで高得点を出せるかなと戦略的なことを一緒に考えるんです!

このように同じ活動をしていても、それぞれの子どもに対するアプローチを変えていますね。

遊びの中で「小さな成功体験」を積めるのは良いですよね!

学校にいると失敗体験から学ぶということが多いかもしれませんが、放課後等デイサービスで成功体験を積んで「自分はここにいていいんだ」という居場所を増やしてあげたいんです!

不登校の子ども達には家以外の「依存先」が必要

不登校の子どもたちとの関わりの中で大切にしていることはありますか?

子どもが頼っていいんだと思えるような「依存先」を増やしてあげたいと思っています!

一般的には「依存」という言葉は、ネガティブな意味で使われることが多いですが、僕自身の経験として依存と言えるほどに心休まる場所が多い方が、子どもにとっては良いと考えているので、あえて「依存」という言葉を使っています!

依存先とは、具体的にはどのような場所を指しますか?

通常、学校へ行ける子どもは「家」という安心できる依存先の他にも「学校の友達」という依存先があり、年齢が上がると部活動や習い事などの「外部のコミュニティ」ができますよね?

学校に行ける子ども達は、年齢とともに自分を発揮できる「依存先」が増えていくんです。

不登校の子どもは依存先が少ないということですね。

そうです。特に低学年で「いじめ」や「勉強についていけない」という理由で、自信を無くしてしまい、学校に依存先がなくなった場合に、引きこもりになるのは当たり前なんですよ。依存先が「家」しかないからです。

そこで、家以外のもう1個の選択肢として「フリースクール」や「放課後等デイサービス」の役割が大切になると思っています!

成功体験って「自分がここにいてもいい」と思えるきっかけにもつながりますよね!

そうなんです。なので「フリースクール」や「放課後等デイサービス」のことを、自分たちを受け止めてくれて居心地がいい場所だと思ってほしいし、失敗体験よりも成功体験の割合が多い学びにつながればいいなと思っています。

そうすれば、フリースクールや放課後等デイサービスがいい意味の依存先になって、自信が持てるようになるかもしれないですし、まわりまわって学校に戻るかもしれないですよね!

依存先の重要性を感じた清瀬さんの「原体験」

子ども達に「居場所、依存先を増やしてあげたい」「成功体験を増やしてあげたい」と考えるようになったきっかけはありますか?

僕が学校の先生をしていた時に、突然学校に行けなくなったんです。つまり、先生だった僕が不登校になったんです。

行きたい気持ちはあるのに学校にどうしても入れなくて、家でぼーっとする日々を過ごしました。

それで子ども達の気持ちがわかるんですね。

僕自身が大人になって不登校を経験しているので、不登校の子どもの気持ちは100%ではないかもしれませんがわかるんです。

成功体験の中で自分も誰かのために貢献できると思ってもらえるようになれば、必然的に人との関わりを求めるようになります。

学校の勉強ができなくても、これは得意だと思えるようなことを見つけて、社会との関わりをもってもらえるきっかけになればいいなと思います!

清瀬さんが取り組む「大人の居場所づくり」

居場所や依存先を求めているのは大人でもあり得そうですが、大人向けの居場所づくりはしないんですか?

よくぞ聞いてくださいました!笑

僕は今、中村文昭講演会『出逢いは一瞬 ご縁は一生』というイベントの主催をしています!

中村文昭さんの講演会は面白いと聞いたことがあります!

ここに来てもらえたら、もう大分県のおもろい人達にめちゃくちゃ出逢えます!間違いなく出逢えます!

なぜなら、講演をして下さる中村文昭さん自身が、めちゃくちゃおもろい人で、人とのご縁ででっかく生きている方だからです

僕ももうチケットを買ってます!行きます!

まだチケットは沢山あるのでぜひ、この記事を見られた方は来てください!

改めて中村文昭さんとはどんな人物なのかを教えてもらえますか?

中村文昭さんは、18歳の時に家出当然で上京。生涯の師匠と巡り会い野菜売として行商を行います。

そこでの様々な経験、出逢いに影響を受け飲食店を経営、現在ではウエディング事業や年間80回の講演会を行うなど、引っ張りだこ。そんなおもろい経歴の講演家さんなんです!

そんな過去があるんですね。

僕は現在、『ご縁紡ぎ大学 大分校』という大人も学生さんも参加出来るコミュニティに入っていて、それこそ、中村文昭さんがこの人と人との繋がりを生む場所、集合場所を作っておられます。

今回僕は、このご縁紡ぎ大学の大分3期の主催をさせていただいております!

2期生には、僕を含め、前々回のカクシンでも出演していた髙橋 貴洋社長や、なんと現役女子高校生も入っており、職業、年齢や性別関係ない43名程の仲間たちがいます!

そう聞くだけでも個性的なメンバーが集まってそうですね!

みんなでイベントを作ったり、仕事やプライベートで人手が必要な時には、呼びかけあって直ぐに駆けつけるなど、みんなで支え合いながら活動を広げていっているんです!

もう次の募集が始まっていますか?

今年はご縁紡ぎ大学3期開校を予定しており、45名の仲間を募集しているまっ最中です!

その最初の説明会と言いますか、ご縁の大切さを話してくださる最初の集いの場が、1月15日(日)に行われる中村文昭講演会 『出逢いは一瞬 ご縁は一生』なんです。

何度でも言いますが、確保している施設がめちゃくちゃ大きいので、まだまだ席は空いています。来てほしいです!あなたに逢いたいんです!

めちゃめちゃ熱い想いでやってるんですね!ぜひ多くの方々に来てもらいたいですね!

新年早々、ご縁の大切さを実感して、来てよかったなと、今日からやってみよう、頑張ってみよう!と思ってもらえるイベントになりますので、ぜひお時間を作って来てもらえたら嬉しです!

〈取材・執筆=林 勇士/撮影=ハル〉

中村 文昭氏の講演会のご案内

清瀬さんが主催する「中村 文昭さん」の講演会が、2023年1月15日に大分市内で開催されます。

ごみ拾いを通じて、大分県中の面白い人と出会い続けている清瀬さんが「もう大分県のおもろい人達にめちゃくちゃ出逢えます!」と自信を持って勧めている講演会です!ぜひ当日の講演会に参加してみてください!

僕も参加します!

チケットの購入はこちら↓

  • この記事を書いた人

林 勇士

【合同会社ビジョナリープロジェクト代表/カクシン編集長/社会派WEBライター】大分県中津市出身。1990年生まれ。2013年に大分大学を卒業後に産業廃棄物処理業界に新卒入社。関西、関東での勤務を経て、2018年に合同会社ビジョナリープロジェクトを創業。1年間の東南アジア、ヨーロッパでの海外調査を実施。2019年10月にUターン移住し、デザインの力で「ごみをお金に変えるアップサイクル」事業を中津市で開始。社会起業家のデザイン支援や企業のSDGs支援を行う。

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